freeeの「取引」形式で支払管理をお勧めする理由

こんにちは、しがない中小企業の監査役をしています、なないと申します。

皆様の会社では、どのような流れでキャッシュフローの管理を行っているでしょうか。

今回はfreee会計の「取引」形式でつける管理表をご紹介します。

概要

「取引」って何?

freee会計では、通常の会計用語と違う使い方がされているものがあります。
そのうちの一つが「取引」です。

まず、普通の複式簿記から説明します。

日付借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
4/1仕入高100,000買掛金100,000取引先A
4/30買掛金100,000普通預金100,000取引先A 4/1分

一番オーソドックスな記帳の仕方です。

計上日と支払日が違う場合、必ず2行の仕訳になります。

取引が行われた日と、決済が行われた日、別々に記帳するわけですね。

続いて、freee会計の取引データ形式を見てみます。

収支区分発生日支払期日勘定科目金額摘要支払日支払口座
支出4/14/30仕入高100,000取引先A4/30普通預金

かなりスッキリしました。

一番大きな違いは、複式簿記でなくなる(!)ということです。

※あくまで管理上の話で、freee会計の中では、相手科目を生成して複式簿記になります。

(疑似)単式簿記になるメリット

このfreee会計の取引形式は、1つの仕訳をバラバラに登録しません。

未決済の状態で勘定科目を計上しておいて、支払いした手段を直接紐づける、という形式をとります。

発生した取引を間違いなくすべて消し込んでいる限り、必ず1対1で残高が消えていきます。

加えて、2行の入力が1行になることにより、入力の手間も半減します。

従来の残高管理が理論上なくなるということです。

実際のつけ方

取引シート

それではデータを見てみましょう。以下サンプルデータを作成してみました。

データの追加、修正はすべてこのシートで行います。追加で入力が必要なシートはありません。

使用される場合は、ファイル→コピーを作成で、マイドライブに複製してから編集をお願い致します。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/16iwUPYYvpE-XpBh0UB1r7SE97qF3Txjd-Bhcj5qzvAs/edit?usp=sharing

概ねfreeeのデータと変わりないのですが、うまく整形するために作業列を追加しています。
数式はこんな感じでV1に入れてあります。

=ARRAYFORMULA(IF(A:A="収入",I:I,-1*I:I))

項目数はfreeeに合わせてありますが、今回の管理表の運用上必須なのは、

①発生日
②決済期日(キャッシュフローのみ)
③取引先
④勘定科目
⑤金額(実際に使用するのはV列)
⑥決済日
⑦決済口座
⑧V列

ここまでです。

これ以外の項目や、作業列を追加したほうがいいパターンもあります。お好みで修正してください。

銀行残高表(C/F)

次にシート2に移ります。
シート1のデータをピボットテーブルにかけて、銀行残高の実績と予測を作っています。

ピボットの設定はこのような感じです。実績は決済日・予測は決済日を選択します。

今回決済口座は1つしかありませんでしたが、口座がいくつかある場合はそれもフィルタに加えます。

お好みで、勘定科目や管理番号を行に追加してもいいと思います。

銀行残高表の最大のメリットは、ピボットの内訳生成です。

この使い勝手の良さを皆様にも体験してほしい…!!

損益計算書(P/L)

次はシート3に移りましょう。このシートでは疑似損益計算書を作成しています。

勘定科目に貸借科目が混じっていますので、フィルタで損益科目だけにしてやります。

列に発生日を入れるとエラーになってしまう場合は、まず行に追加して、グループ化を施してから列に移してやりましょう。

並び順がすごいことになっていますが、作業列で勘定科目コードを準備し、並べたい順番に昇順にしてやれば、お使いの会計ソフトと合わせることができます。

このスプレッドシートの損益計算書と、会計ソフトの勘定科目の金額が合うように運用します。

注意点

ここまでメリットを中心に説明してきましたが、出来ないこともあります。

貸借対照表(B/S)は作れない

仕様上、口座に対しての入出金にフォーカスして紐づけているので、それ以外の貸借科目の集計にはめっぽう弱いです。これはfreee自体の弱点でもあります。

(やれないことはないのですが、別記事でまとめます。。)

空白行は作らない

複式簿記ではしばしばこういった仕訳に出くわします。

日付借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
4/1仕入高100,000買掛金200,000取引先A
外注費100,000
4/30買掛金200,000普通預金200,000取引先A

このような入力はfreeeでも出来るのですが、出来上がるデータが曲者です。

収支区分発生日支払期日勘定科目金額摘要決済日決済口座決済金額
支出4/14/30仕入高100,000取引先A4/30普通預金200,000
外注費100,000

外注費の行に必要なデータの入力がない、ということがお分かりいただけるでしょうか。

スプレッドシートで運用する際は、必須項目に必ずデータを入れ、一行で完結する状態にしておくことをおすすめします。

まとめ

今回は軽く触りだけに留めましたが、メモタグで事業別に集計したり、会計ソフトでは入力できない精度で予測値を入力したり、可能性は無限大です。

それほど難しくありませんので、皆様もぜひトライしてみてください!
ご質問等あれば、コメントやTwitterでお声掛けお願いいたします。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

Photo by Kajetan Sumila on Unsplash